川津 孝代(かわず・たかよ)
NPO全国介護理美容福祉協会登録美容師
はじめに
私が本格的にこの道に進もうと思ったきっかけは4年前、以前勤めていた美容室を1カ月休職した時でした。山野学苑の美容福祉講座を終了し、福祉美容師の資格を取得したものの、忙しさに追われなかなか行動に移せないでいたのですが、その夏の集いで理事の佐野美恵子先生の活動に感銘を受け、同行訪問をお願いし美容福祉の現場を見せていただいたのが始まりです。
佐野先生は私の話をよく聞いて下さり、自らの活動からのアドバイスを3つして下さいました。
1. 何もないところから動くより、スタートする前に準備を!
そうした現状もふまえ、全ての仕事を訪問美容にするのではなく、今までのお客様にも対応させてもらいながら、上手くサロンワークと訪問美容のバランスをとりながらやっていくことを勧めていただきました。
2. サロンワークと訪問美容の両輪で!
そうした現状もふまえ、全ての仕事を訪問美容にするのではなく、今までのお客様にも対応させてもらいながら、上手くサロンワークと訪問美容のバランスをとりながらやっていくことを勧めていただきました。
3. 人材育成(学生教育)を!
先生は現場のお仕事をされながらも、山野美容芸術短大で教壇にも立たれていて、生の現場の声を学生さんに指導されていると聞き、私も将来自分の活動を通して 学生さんに美容福祉を伝えていきたいと思い、佐野先生をお手本として頑張ってみよう、自分に出来る事を精一杯やってみようと2012年1月からフリーになり活動を開始しました。
3年間やってきた事
【訪問美容】美容施術、営業、施設見学、訪問美容同行、イベント開催、ボランティア活動
活動訪問先…特別養護老人ホーム・デイサービス・グループホーム、ケアステーション・在宅
【サロンワーク】面貸しで今までのお客様や友人などを対応、写真館でのヘアメイク着付けの手伝い、ブライダルでのヘアメイク
【短大の非常勤講師】地元短大(社会福祉、介護福祉科)で美容福祉学講座担当、学生にメイクの指導、施設でのファッションショー開催、高大連携の授業として、付属高校での美容福祉授業
<良かった点>
・サロンワークばかりではないので、フットワークが軽く動きやすい。
・フリーでいるため他とのしがらみが無く、自由に動ける。
・多種多様な職種の方との出会いが多い。
・フリーでいるため声をかけてもらいやすい(仕事をもらえる)。
・時間の使い方が自分で調整できる。
・勉強の時間がとれるので、資格取得などスキルアップできる。
<良くなかった点>
・フリーのために大きな施設での信用性が低く、営業の受け入れが悪い。
・1人で動いているので、動ける範囲など仕事量が制限される。
・自分で決めて自分で動くので、不安や落ち込んだ時は仲間の重要性を感じる。
・仕事と収入が不安定。
・(一緒にやってみたいなど)周りで興味を持った人に現場を見せても先につながらない。
・美容福祉に興味がある人じたいが少ない(理美容師)。
・ボランティア感覚に思われがち。
・施設側も低料金でのサービスを求めてくる。
問題からの改善点
フリー活動からのご縁で、地元短大の福祉専攻の学生に美容の授業を受け持ってほしいとの依頼をいただき、ありがたい事に短大の非常勤講師として、学生教育に携わらせていただく事になりました。非常勤講師になることで、バックがつくので見られ方に大きな変化が起き、学校の名前を使わせてもらう事で、信用性や格がUPし、自分の活動の幅が広がりました。
活動の共有仲間を増やそうと、理美容師限定で美容福祉に興味がある人を増やすのには時間がかかるので、「介護の中に美容を」と強く願う介護福祉士2人とチームを組み、サポートしてもらいながら、一緒に美容アクティビティケアやイベントなどを開催しています。
資格取得
・介護職員2級(現初任者研修)
・アクティビティインストラクター(高齢者アクティビティ開発センター)
・認知症サポーター
・手話初級
・日本メイクアップ技術検定4〜1級
・メイクアップアドバイザー
・学内認定指導講師
3年間、このような資格取得の勉強をし、自らの強みとして仕事に活かそうとスキルアップをしてきました。
フリーランスで丸3年間無我夢中で動いてきましたが、4年目を目前にこれから先のことを考えた時に、より美容福祉を地域に浸透させていく為には、そろそろ目に見える形としてきちんとお店を構えて地域貢献していこう!と決意し、本年の5月に訪問美容の事務所兼サロンをオープンすることに致しました。
今後目指していくこと
まだまだ地域に美容福祉が浸透していないので、私の活動を通して、地域の美容師さんに美容福祉活動を知ってもらい、地域美容室の美容福祉面でのサポート、又興味がある方には福祉美容師資格取得を目指していただきたいと思います。
後々コミュニティーサロンとして、色々な方に集ってもらえる場の提供、異業種間での交流、イベント開催などもしていきたいと思います。
未来を担う子供達に職業選択の一つとして見てもらえるよう、 現場に立ちながらこの仕事のやり甲斐を学生に伝えていきたいと思います。
また、現非常勤講師の短大では福祉分野に出て行く学生に、しっかり美容の 重要性を伝え、現場で活躍できる人材育成をしていきたいと思います。
最後に
ただ純粋に10年後20年後、自分がどうなっていたいか?そのためには今何をすべきかを考えた時に、自分にしか出来ない事、大変でも自分でつくっていく道を選びました。
都心に比べ地方都市ではまだまだ美容福祉の重要性、注目度は低い現状にあります。それでもこの3年の間で少しずつ変化を感じるようになりました。否定も批判も沢山されてきました。
でも必ず応援してくれる人、力になってくれる人、全国に多くの仲間もいます。
美容福祉とは誰でも簡単に出来る仕事ではないと思います。だからこそ福祉美容師、美容福祉師の価値は大きいし、ますます今後求められる素晴らしい仕事ではないかと思います。
全国の素敵な皆さんのご活躍を楽しみに、私も一歩一歩前進していきたいと思います。本日はありがとうございました。
敬老会ファッションショー
学生美容福祉実習
美容福祉サロン private salon hanakan