登録理美容師
事務局長 北村秀敏
２０１６年夏。リオ・オリンピックは、世界の青年たちが熱いドラマを展開し、感動を巻き起こしました。東京都では初の女性都知事が誕生して新たな都政への期待が高まっています。
明るい話題の一方、相模原では障がいを持ちながらも前向きに生きている方々のいのちが奪われ、岩手県の過疎地では台風のため多くの高齢者が一瞬にして生命を絶たれました。
暑い夏でしたが、全国各地で「美容福祉」理論に基づいて、訪問理美容をはじめ高齢者や障がい者の福祉向上のためにご活躍されているみなさまに心から敬意を表します。
台風10号の影響が少し残る8月30日に開催した「第９回登録理美容師の集い」は、59人のみなさんにご参加いただきました。
最初に山野正義・理事長が、この一年、全国各地で訪問理美容に取り組まれてきた登録理美容師のみなさんのご努力を讃えて挨拶。続いて鳥取県福祉保健部障がい福祉課社会参加推進室の北川泰子さんが「障がいを知り、共に生きる」ことを目指すユニークな活動である「あいサポート」運動の研修会を行い、参加されたみなさんは「あいサポーター」として登録されました。
特別講演では、大西典子・山野美容芸術短大准教授が「ソーシャルビジネスとしての理美容福祉事業」について提起しました。実践報告とＮＰＯ活動報告では、訪問理美容とともに地方創生と結び付けた活動が紹介されました。
「登録理美容師の集い」は、年々内容が多彩となっています。そして何よりも登録理美容師のみなさんが生き生きと輝いています。これは「美容福祉」が高齢社会の福祉向上のために、間違いなく役立っていることの証明です。
集いの内容を特集しました。明日からの活動にぜひご活用ください。
ＮＰＯ全国介護理美容福祉協会理事長 山野正義
ジェロントロジーを学び質の高い理美容師に
暑い８月の最後になって台風10号が近づいていますが、全国各地で訪問理美容を中心にして高齢者や障がいのある方々の福祉向上のためにご活躍されている登録理美容師のみなさま、ようこそいらっしゃいました。感謝と歓迎の気持ちを込めて、ひとことご挨拶申し上げます。
みなさまご承知のように、学校法人山野学苑は、これからの理美容師に求められる高齢社会の諸問題をより深く理解し、それを日々のお仕事に役立てるために、ジェロントロジー教育を推進しています。日本では、東京大学がジェロントロジー教育研究を進めていますが、山野学苑が美容と結び付けたジェロントロジー教育を行っていることを知った東大と同じ国立大学である大阪大学から山野学苑と提携してジェロントロジーに関する研究と教育を推進したいとの申し出があり、先日大阪大学に出向き、担当副学長らと協議して参りました。
大阪大学は幕末に緒方洪庵が創設した医学研究の「適塾」を源流とする大学です。その大阪大学がジェロントロジーに関する研究と教育に注目したことは、山野学苑が提起したジェロントロジーの重要性を裏付けたと言っていいと考えています。
今日はこの後、南カリフォルニア大学が制作した美容師向けのジェロントロジー紹介ＤＶＤ「ビューティフルライフ」をご覧になっていただき、一枚差し上げますので理美容師が福祉の分野へ職域を拡大していく一助にしていただきたいと思います。
私は今年９月、80歳になりますが、この世を去るまでに、美容師のみなさんが新たに一兆円の質の高い仕事をすることができるようにしたいと考えています。ジェロントロジーを学ぶということはそのために必要な投資なのです。そのようにご理解いただいて、一人でも多くのみなさんが、ジェロントロジーについて学んでほしいと思っています。
私事ですが、三番目の弟・彰英（株式会社ヤマノビューティメイトグループ会長）が亡くなり、今日この後、増上寺で葬儀です。その後、障がいのある方が暮らしやすい地域社会をつくるための「あいサポート」運動を展開している平井伸治・鳥取県知事を小池百合子・東京都知事にご紹介することになっています。
私の５人の弟のうち、すでに３人が亡くなりました。死ぬということは考えたくないことではありますが、私も含めて人は必ず死にます。そう受け止めた時、では生きている間はどのように生きるのかについて学ぶことが必要になってくるのです。そしてご自分の人生、さらには周囲の方々の人生、できれば日本のすべての高齢者が素晴らしい日々を送ることができるようにお手伝いして欲しいと念願しています。
今日ご参加の登録理美容師のみなさま、どうか一度きりしかない人生が終わるまで、生き生きと輝いた日々を送ることができるように、一緒に学び、行動していきたいと思います。
みなさまのさらなるご活躍を期待して私のご挨拶とさせていただきます。
