登録理美容師

「美容福祉による地方創生」の具体化にあたって
勝又 徳之 奥山 一成

勝又 徳之(かつまた・のりゆき)=写真右
小山町役場町長戦略課地域コミュニティ室室長

奥山 一成(おくやま・かずしげ)=写真左
学校法人山野学苑総長室室長



はじめに

団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい、医療、介護、生活支援・介護予防が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築に向けた動きが市町村を中心に加速している。
今後、認知症高齢者や単身高齢者世帯の増加に伴い、医療や介護サービス以外にも、在宅生活を継続するための日常的な生活支援等を必要とする高齢者の増加が見込まれる。こうした地域包括ケアシステムを補完・充実していくためには、介護保険等の社会保険制度や公的サービスに加え、ボランティアや住民主体の活動等である「互助」、市場サービス購入等である「自助」を充実していく必要がある。
特に「自助」においては、高齢者や家族のニーズを踏まえて、自費で購入する保険外サービスがより拡充され、高齢者やその家族からみて豊富なサービスの選択肢が提供されることへの期待が大きい。
また、サービスを受容する市場の観点では、従来の世代に比べて消費文化を謳歌した団塊世代が今後高齢化することにより、自分のニーズに合致した付加価値の高いサービスに対価を払う消費者が、今後増えていくと予想される。
さらに、産業振興の側面から考えると、世界に先駆けて高齢化が進む日本において、健康寿命の延伸に寄与するヘルスケアビジネスの一つとして、高齢者の生活の質を高める保険外サービスを発展させていくことの意義は大きいといえる。
〔出典:地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険以外サービスの参考事例集 保険外サービス活用ガイドブック 平成28年3月 厚生労働省 農林水産省 経済産業省〕

福祉理美容師の育成

在宅生活を継続するための日常的な生活支援として訪問理美容が注目されている。訪問理美容には次のような問題点がある。

1.ベッド上で散髪する場合、理美容室における散髪技術によると、髪の毛がベッド上に落ちて不衛生である。髪の毛を落とさずに散髪する技術の習得が必要である。
2.車椅子で洗髪するとき、安全安楽な体位変換の介助技術の習得が必要である。

以上の二つの問題に対応できる福祉理美容師の育成が重要である。

福祉理美容師と地域福祉の充実

・福祉理美容師が市町村、社会福祉協議会、地域包括支援センター等と連携し、地域福祉に寄与するNPO法人を立ち上げることで〈互助〉〈自助〉の事業が推進できる。
・社会貢献事業として、介護予防・健康づくりのための、オシャレ講座(ネイル、メイク、ファンションショー等)を行う〈互助事業〉。
・収益(有料)事業として、生活支援・見守りのための、訪問理美容(散髪、洗髪、ヘアダイ、パーマネントウェーブ、メイク、ネイル、ハンドマッサージ、車椅子着付等)を行う〈自助事業〉。

福祉理美容師の社会的責任

・福祉理美容師の使命は、理美容技術を通じて、すべての人々が健康でいきがいのある生活を実現するためにお手伝いする。
・在宅や施設、病院等で寝たきり生活を余儀なくされている高齢者や障がいのある方々が困難に負けず元気で過ごすことができるお手伝いをする。

勝又 徳之 奥山 一成

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おわりに

「オシャレ」をすることで、高齢者は、笑顔になり、活き活き生活を送ることが可能になる。
「オシャレ」を提案できるのは理美容師である。
高齢者の美しくなりたい・綺麗になりたい・若くなりたいと思う気持ちは、全国共通である。

理美容福祉の必需品
  • すいコ〜ム
  • ハッピーシャンプー