登録理美容師

精油を活用した美容と健康法&介護予防
山野医療専門学校チームと美容チーム

山野医療専門学校チームと美容チーム(加納静江・神山明子・佐野美恵子)との共同研究

健康な時だけでなく病気や障がいのある方で、入退院を繰り返えされている方や福祉施設等に入所されている方等、在宅や病院、福祉施設でのカットやスキンケア、ハンド&フットケア等を希望される方は多く、定期的に訪問美容を利用される方も増えています。訪問美容を続けて25年になりますが、訪問美容の現状から、高齢社会における高齢者をとりまく美容環境においては、美容への概念も変わりつつあることがみられます。たとえば、加齢による病的状態や障がいがある場合、身だしなみやおしゃれに気を配るという行為が、自分だけでは困難になるケースが多く、整容・美容を諦めざるをえない状況の中では「自分らしく生きられている」と感じられる方は少ないようです。

高齢社会における美容へのニーズは、美容と健康(外面の美→素肌美と、内面の美→精神美・健康美)、介護予防等につながる美容がとても多く、施術方法や美容福祉道具、美容商品の選択・開発等への関心とともに、皮膚のケア、肌の潤いを求められる高齢者が増えております。
今回の研究(医療と美容の連携)を通し、美容と健康(外面の美→素肌美と内面の美→精神美・健康美)、介護予防等、生涯にわたるサポートに向けた美容法のひとつにつながればと考えご報告をさせていただきました。 今回の取り組みでは、主に美容チームも対象者も杉並区在住であることに視点を置きました。この研究を基に、人(理・美容師、利用者&家族関係者、福祉関係者、医療関係者等、)と地域(杉並区)と学校(山野医療専門学校)が一体となり、病気や障がいのある方にもよりよい美容と健康環境を創出し、身だしなみ、おしゃれを楽しんでいただける地域づくりのきっかけになればと考えたからです。また、その先には、お一人お一人に向けた訪問美容につながる可能性も期待し、私たちの活動をご紹介させていただく場として活用させていただきました。

地山野医療専門学校の取り組み:鈴木忠慶・山野医療専門学校

山野医療専門学校では、老年学を基盤とした高齢者社会への取り組みを始めています。その一つに、高齢者を対象に美容福祉の視点からアロマ「ミズメザクラ精油」とキャリアオイル「米ぬかオイル」(正プラス株式会社)をとりあげ美容と健康、介護予防等につながる研究があります。
ミズメザクラ精油には、湿布の成分に代表されるサリチル酸メチルが98%含まれています。「香り」はハッカに似た独特の香りで、いわゆる「湿布の香り」がします。また米ぬかオイルの主な成分はオレイン酸が約45%、リノール酸が約36%含まれています。(名古屋大学 今井氏ら)ミズメザクラ精油が「雑貨」ながら、その成分から血行改善効果が期待されることから、また米ぬかオイルが皮膚への浸透性をよくし保湿効果が期待されることから、頸部筋緊張に対する直接的、ならびに間接的な効果について明らかにするものです。

<アロマが身体に働きかける3つの経路>
精油には免疫系や自律神経系や内分泌系を調節し身体の内面から健康のバランスを整える働きがあるといわれます。(安保氏ら)

<タクティールケア調査の結果>

専門職の方(福祉施設従事者、柔道整復師、看護師)と、高齢者の方を対象に、「ミズメザクラ精油」とキャリアオイル「米ぬかオイル」を使用して、タクティールケアの手技でハンドケアをおこない、身体への効果、精神に及ぼす影響などについて感想を伺いました。【タクティールケアとは】タクティールは、ラテン語で「触れる」という意味です。指圧や、筋肉に働さきかけるマッサージではなく、皮膚を包みこむように手のひらを密着させ、なでる、さする等の手法で行います。皮膚をなでることにより、脳でオキシトシンというホルモンが分泌されることは証明されており(S・ウヴネース・モベリ)、不安や焦燥、恐怖などが和らぎ満足感や安心感、信頼が築かれQOLの向上に繋がるといわれます。(ただし、相互に信頼関係が成立している場合)

【事前準備】(手指消毒、衛生面の管理)

・アロマオイルを作る(精油を使用する前には必ずパッチテストを行う)
キャリアオイル(米ぬかオイル)にミズメザクラ精油を入れる (2%に希釈)

【施術にあたり】

・参加者にとって心地よい安楽な姿勢で行う。必要であればクッション等を使用する
・心身共に緊張されている人には、緊張をほぐす方法としてコミュニケーションを重ねながら、最初に肩や肘の骨格筋をやさしくさする

★注意点
*身体の動きや関節の可動域、腫脹、拘縮、痛み、傷、発疹、発赤等の有無、また爪の変形、変色縮、肥厚、白癬などの有無について確認する(症状によっては施術は行わない)
*疾病や障がいの特性などに関する一般知識を備え、参加者一人一人の心身の状態に合わせた施術方法を引き出す
*参加者の安全安心を確保するために、参加者の関係者である家族、看護師、ケアマネージャー、福祉施設スタッフ等との情報交換を充実させる

【参加者の感想から】

◇専門職者=身体によさそう/馴染みの香り(匂い)/身体が温かくなる/心身共にリラックスできる/アロマケアのイメージが変わった/香りからのイメージでは、男女問わず受け入れやすい/雑貨なので、取り入れやすい/身体に貼らないのでかぶれが気にならない/自尊感情が生まれる

◇高齢者=身体によさそう/馴染みの香り(匂い)/身体が温かくなる/心身共にリラックスできる/美容では、アロマは癒し系を連想していたが、ミズメザクラ精油は、より健康をイメージさせるので嬉しい/継続したいと思う自立心が生まれる/おしゃれを楽しむ喜びが生まれる/日々の苦痛から解放され快眠できる/自尊感情が生まれる/雑貨なので、受け入れやすい/身体に貼らないのでかぶれが気にならない

身体全体を覆う皮膚は,成人で面積が 1.6 ㎡,重量は体重の約 16%を占める 人体で最大の臓器です。健康な時だけでなく病気や高齢、障がいがある方にもその人らしく豊かに生きるそのサポート手段として施術方法や美容福祉道具、美容商品の選択・開発の充実のもと、皮膚を基本としたスカルプ&ヘアケア、スキンケア&メイクアップ、ハンド&フットケア、ネイルケアなどは、衛生面からも欠かすことのできない美容ケアと考えます。

理美容福祉の必需品
  • すいコ〜ム
  • ハッピーシャンプー