荻野道人・事務局次長
2009年3月11日の東日本大震災により、東北各地の理美容室は大きな被害を受けました。特に寝たきりの高齢者や障がいを持った方々は、日常生活に加えて人として生きていく上で不可欠な理美容を受けることが困難になっています。そこで理美容室を失った理美容師のみなさんが仮設住宅等で訪問理美容ができるようにするために、文部科学省に申請して人材育成事業に取り組むことにしました。
具体的には、震災で大きく変化した被災地の人材ニーズに対応し、復興の即戦力となる専門人材や次代を担う専門人材の育成及び地元への定着をはかるための推進体制を整備し、被災地以外の教育機関等による支援も含め、専門人材育成コース等の開発・実証・開設や、専修学校等の就職支援体制の充実強化を図ることを目的としました。
これは設立以来本NPOが積み上げてきた訪問理美容に関するノウハウと技術を最大限に生かす事業です。以下概要を報告します。
◇実施場所と受講者
岩手県大船渡市=第1回(1.15~18)、第2回(2.12~15)=35人。福島県猪苗代町=第1回(1.28~31)、第2回(2.18~21)=28人。宮城県石巻市=第1回(2.4~7)、第2回(2.25~28)=25人。
受講定員120人に対して88人が参加。
◇講座内容
第1日=カット技術、第2日=洗髪技術、第3日=全介助による介助技術、第4日=一部介助による介助技術
◇事業実施体制
大船渡市、猪苗代町、石巻市の社会福祉協議会などの行政機関と山野美容専門学校・山野美容芸術短期大学、それに各市にいる本NPOの登録美容師が推進協議会を設置し、そこが主体となって推進する体制としました。
◇受講生の評価
受講者88人にアンケートした結果、大変満足 53、満足21、普通5、不満0で、満足度が高いことが確認できました。また「今後の活動について、訪問理美容活動を行うのか」の設問に関しては、全員が「思う」と回答し、専門人材育成事業として役割を担うことができたと確信しています。
震災復興事業はまだ続きます。今後もこの事業を発展させていくべきだと考えています。