登録理美容師

認知症を学び、地域を支えよう
全国キャラバンメイト協会、NPOかつしか・シルバー介護相談室長 金山雅俊

金山雅俊=全国キャラバンメイト協会、NPOかつしか・シルバー介護相談室長
グループホーム「みやびの里」取締役マネージャー


私は東京下町の葛飾区で5年ほど前「NPOかつしか・シルバー介護相談室」を開設し、理事長として認知症を抱える方々に対する講義と相談にボランティアで対応しています。また7年前に葛飾区・水元でグループホーム「みやびの里」を開設しました。それは弟が運営を担当し私はマネージャーとしてお手伝いしています。本業はとんかつ屋です。とんかつ屋さんが認知症に関わるきっかけは、父親が認知症になったからです。

そして試行錯誤の結果、7,8年前、認知症の方が一緒に生活するグループホームの話を聞いて相談し、東京都の窓口を紹介してもらって、空いている土地にグループホームを建設したのです。
長男である私が見なければいけないのですが、残念ながらそれを放棄する結果になりました。
しかしグループホームに入れた結果、父はようやく元気になりました。父と一緒にそのグループホームに入所しいている認知症のある方々と交流すると、症状の軽重はありますが、皆さん普通の人です。認知症の方々は決して特殊ではありません。
父と認知症の方々のふれあいを通じて、認知症に対する誤解を解く運動のお手伝いを始めました。仕事を持ちながらも家族として認知症の親に関わっている運動ですので、その活動の時間は半分か3分の1ですが、必死に勉強しました。医者とは違った家族の目線で認知症を考え対策を立てて欲しいと思って出来る限り頑張ろうと活動しています。

認知症サポーター100万人キャラバン

2004年12月「痴呆」から「認知症」へと呼称が変更されました。この変更を契機として、認知症を研究し対策を構築している医師や団体が中心になって、みんなで認知症の人とその家族を支え、誰もが暮らしやすい地域をつくっていく運動「認知症を知り地域をつくる10カ年」のキャンペーンが始まりました。その一環として「認知症サポーター100万人キャラバン」が始まったのです。
現在は200万人近くになっています。今日のこの講習も「認知症サポーター養成講座」です。毎月、全国で数千人が受講していますので、2015年には400万人を目指しています。皆さんも今日の教習後は「認知症サポーター」となりますので、その意識を持って考え、活動していただきたいと思います。

データから見た認知症の現状

統計上、高齢者とは65歳以上とされています。75歳以上が評判の悪い後期高齢者です。高齢社会とは65歳以上の方が全人口に占める比率が高いことを言います。東京は今年3月、20%を超え、全国では23%を超えています。100人のうち20人が65歳以上なのです。東京都では、100人のうち65歳以上の20人の中で何らかの認知症症状が出ていて、認知症と診断されている方は、12%、2.4人です。
私が地域活動をしていますが、元気な高齢者でも明らかに認知症の症状とみられる方がいますが、認知症と診断されていませんので、このデータには入りませ ん。12%というのは氷山の一角です。認知症の方は、どこに住んでいるのでしょうか。
私は当初、認知症の方は施設か病院にいると思っていたのですが、現実には3分の1の方々が特別養護老人ホームなどの施設です。それ以外の3分の2の方々は居宅つまり自分の家にいます。認知症に関する理解度を調べたデータによれば、全体的には認知症に対する関心は高いようです。しかし特に若い人は認知症について正確に理解している人は少ないのが現状です。従ってこの運動は、認知症の人も安心して暮らせる街を目指して、認知症を広く知っていただくとともに、地域をつくりなおそうという活動のひとつです。地域で暮らす人、そこで働く人たち、特に皆さんのように地域で働いて地域に貢献されている美容師さんたちが、地域で認知症の方々や家族の生活を支える町をつくることを目指して欲しいということなのです。
東日本大震災では、住民の助け合いが進んでいますが、もう一度みんなで町をつくっていくことの一環がこの運動なのです。

認知症を理解する

○認知症とは
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障がいがおこり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6カ月以上継続)を指します。
○認知症の症状
脳の細胞が壊れることによって直接起こる症状が「記憶障がい」「見当識障がい」「理解・判断力の低下」「実行機能の低下」「感情表現の変化」など中核症状と呼ばれるものです。これらの中核症状のため周囲で起こっている現実を正しく認識できなくなります。
○行動・心理症状とその支援
元気がなくなり、引っ込み思案になることがあります。自信を失ってうつ状態になる場合もあります。認知症が進行すると、入浴・更衣・排泄・食事など基本的な生活動作に援助を必要とします。周囲の人が疲弊する精神症状が出てきます。しまい忘れからもの盗られ妄想へすすみ、もの盗られ妄想がより複雑な妄想になることもあります。
○認知症の診断・治療
認知症はどうせ治らない病気だから医療機関に行っても仕方ないという人がいますが、これは誤った考え方です。認知症についても、早期受診・早期診断・早期治療が非常に重要です。

認知症サポーターとは

まず認知症について正しく理解し、偏見を持たず、認知症に人や家族に対して温かい目で見守ることがスタートです。認知症サポーターは「なにか」特別なことをやる人ではありません。認知症を理解した認知症の人への「応援者」です。

理美容福祉の必需品
  • すいコ〜ム
  • ハッピーシャンプー