美容福祉®

出張理容・出張美容に関する衛生管理要領について
介護老人福祉施設などへの出張理容・出張美容を行う機械の増加と
その際の衛生管理について地方自治体へ助言

近年の高齢化の進展により、介護老人福祉施設など理容所又は美容所以外の場所に理容師又は美容師が出向いて行う理容又は美容(以下「出張理容・出張美容」という。)に対する社会的なニーズが高まっており、これまで以上に出張理容・出張美容に係る衛生の確保が求められているところであるが、出張理容・出張美容の衛生の確保について必ずしも全国的に十分な指導等がなされているとは言えない実情にある。
ついては、今般、出張理容・出張美容の衛生を確保するため、別添のとおり「出張理容・出張美容に関する衛生管理要領」を定めたので、下記事項にも留意の上、関係者に対して周知を図るとともに、衛生管理の指導に当たっての指針として活用されたい。
なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に規定する技術的な助言に当たるものである。

1 出張理容・出張美容を行う者に対して衛生の確保のための指導等を行うに当たっては、必要に応じて条例又は要綱等を制定するなどにより行われたいこと。

2 出張理容・出張美容について、理容師法(昭和23年法律第234号)第11条第1項又は美容師法(昭和32年法律第163号)第11条第1項に基づき理容所又は美容所の開設の届出をし、理容師法第11条の2又は美容師法第12条の規定に基づき都道府県知事等の検査を受け、使用することができることとされている理容所又は美容所の開設者(当該理容所又は美容所に所属する理容師又は美容師を含む。)であれば、所要の指導等を行うことができる枠組みが存在していることから、その実施主体としてふさわしいと考えられる。しかし、各都道府県、政令市又は特別区がそれぞれ実情を考慮し、出張理容・出張美容の主体を理容所又は美容所の開設者に限定しない場合には、これらの者以外の出張理容・出張美容を行う者が、本要領に基づく衛生措置を確保するよう、ホームページその他の媒体を通じて出張理容・出張美容において講ずべき衛生措置や衛生上の問題が生じた場合の相談先の周知を図るとともに、営業者の名称、営業区域、従業員等について把握等ができる条例又は要綱等を制定するなどにより、特にその指導に遺漏なきを期されたいこと。

(別添)

出張理容・出張美容に関する衛生管理要領
第1 目的
この要領は、出張理容・出張美容に関する作業環境、携行品等の衛生的管理及び消毒並びに従業者の健康管理等の措置により出張理容・出張美容に関する衛生の確保及び向上を図ることを目的とする。

第2 作業環境
1 不特定多数が利用する施設等において出張理容・出張美容を行う場合には、作業及び衛生保持に支障を来さないよう、不特定多数が出入りする場所から区分された専用の作業室などにおいて行うことが望ましいこと。
2 作業場の床及び腰張りは、コンクリート、タイル、リノリウム、板等の不浸透性材料を使用した構造が望ましいこと。これによらない場合は、ビニールなど不浸透性材料のシートの上で作業を行うこと。
3 作業場内は、不必要な物品等が近くにないところが望ましいこと。
4 作業場内の採光、照明及び換気を十分にすること。

第3 携行品等
出張理容・出張美容を行う際には、次の器具等を携行すること。
1 洗浄及び消毒済みのはさみ等の理容器具・美容器具と、これらを衛生的かつ安全に収納できるもの
2 使用済みのはさみ等の理容器具・美容器具を、安全に収納できるもの
3 消毒された布片類・タオルと、これらを衛生的に収納できるもの
4 外傷に対する救急処置に必要な薬品及び衛生材料
5 手洗いに必要な石ケン、消毒液等

第4 管理
1 作業環境の管理
(1) 作業場内には、みだりに犬(身体障がい者補助犬を除く。)、猫等の動物を入れないこと。
(2) 作業終了後は、作業場の清掃を十分行い、清潔にすること。
2 携行品等の管理
(1) 洗浄及び消毒済みの器具類等は、使用済みのものと区別して、収納ケース等に保管すること。
(2) 使用済みのかみそり(頭髪のカットのみの用途(レーザーカット)に使用するかみそりを除く。以下同じ。)及びかみそり以外の器具で、血液の付着しているもの又はその疑いのあるものは、それ以外の使用済みの器具と区別して、丈夫な容器に保管し、適切な処置を行うこと。取扱いの際は、器具の突き刺し事故に注意すること。
3 従業者の管理
営業者は、常に従業者の健康管理に注意し、従業者が感染症、感染性の皮膚疾患にかかったときは、当該従業者を作業に従事させないこと。

近年の高齢化の進展により、介護老人福祉施設など理容所又は美容所以外の場所に理容師又は美容師が出向いて行う理容又は美容(以下「出張理容・出張美容」という。)に対する社会的なニーズが高まっており、これまで以上に出張理容・出張美容に係る衛生の確保が求められているところであるが、出張理容・出張美容の衛生の確保について必ずしも全国的に十分な指導等がなされているとは言えない実情にある。
ついては、今般、出張理容・出張美容の衛生を確保するため、別添のとおり「出張理容・出張美容に関する衛生管理要領」を定めたので、下記事項にも留意の上、関係者に対して周知を図るとともに、衛生管理の指導に当たっての指針として活用されたい。
なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に規定する技術的な助言に当たるものである。
1 作業室には、施術中の客及び介助者以外の者をみだりに出入りさせないこと。
2 作業中、従業者は清潔な外衣(白色又はこれに近い色で汚れが目立ちやすいもの)を着用し、顔面作業時には清潔なマスクを着用すること。
3 従業者は、常につめを短く切り、客1人ごとの作業前及び作業後には手指の洗浄を行い、必要に応じて消毒を行うこと。
4 作業場においては、喫煙及び食事をしないこと。
5 皮膚に接する器具類は、客1人ごとに消毒した清潔なものを使用すること。
6 皮膚に接する器具類は、使用後に洗浄し、消毒すること。
7 皮膚に接する布片類は、清潔なものを使用し、客1人ごとに取り替えること。
8 使用後の布片類は、他のものと区別して収納すること。帰宅後、洗剤等を使用して温湯で洗浄することが望ましいこと。
9 蒸しタオルは消毒済みのものを使用すること。
10 客用の被布は、使用目的に応じて区別し、清潔なものを使用すること。
11 作業に伴って生ずる毛髪等の廃棄物は、客1人ごとに清掃すること。
12 毛髪等の廃棄物は、ふた付きの専用容器や丈夫な袋などに入れ、適正に処理すること。
13 皮膚に接しない器具であっても汚れやすいものは、客1人ごとに取り替え又は洗浄し、常に清潔にすること。
14 感染症、感染性の皮膚疾患の患者又はその疑いのある者を扱う場合には、マスク、手袋等予め防護措置をとること。また、このような者を扱ったときは、作業終了後、従業者の手指及び使用した器具等の消毒を特に厳重に行うこと。器具等の消毒については、感染症法に基づく消毒・滅菌の手引き(平成16年1月30日健感発第0130001号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)等を参考にすること。
15 パーマネントウエーブ用剤、染毛剤等の使用に当たっては、医薬部外品及び化粧品として、薬事法による承認を受けたものを適正に使用し、その安全衛生に十分留意すること。また、使用によってアンモニア等のガスが発生する場合には、特に排気に留意すること。

第6 消毒
理容所及び美容所における衛生管理要領(昭和56年6月1日付け環指第95号厚生省環境衛生局長通知)に準じること。

第7 自主管理体制
1 衛生管理責任者の設置
理容師法第11条の4第1項又は美容師法第12条の3第1項の規定に該当しない営業者が出張理容・出張美容を行う場合において、常時2人以上の理容師又は美容師を出張理容・出張美容に従事させる場合には、事務所等の設備、器具等の衛生の点検管理、従業員の感染症罹患の有無の確認、従業員の衛生教育等を行う衛生管理責任者として、理容師法第11条の4第2項の規定に基づく管理理容師又は美容師法第12条の3第2項の規定に基づく管理美容師の資格を有する者を置くことが適当であること。
2 衛生管理要領の作成及び周知
営業者又は衛生管理責任者は、出張理容・出張美容に係る作業環境や取扱い等に係る具体的な衛生管理要領を作成し、従業員に周知徹底すること。

(参考)

出張理容・出張美容に関する衛生管理要領について(平成19年10月4日)
(健衛発第1004001号)
(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局生活衛生課長通知)
標記については、平成19年10月4日健発第1004002号厚生労働省健康局長通知をもって通知されたところであるが、この「出張理容・出張美容に関する衛生管理要領」は、出張理容・出張美容の衛生を確保するために定められたものであるので、下記事項に留意し、その実施に遺漏のないようお願いする。

1 出張理容・出張美容に関する条例又は要綱等を制定する場合には、既存の営業者が円滑に対応できるよう、必要に応じて周知期間を設けるなどの配慮をすること。
2 営業者が複数の都道府県等にまたがって出張理容・出張美容を行おうとする場合には、それぞれの地域において適切に指導監督を行う必要があること。
3 従来、昭和26年10月1日付け環衛第113号・東京都衛生局公衆衛生課長宛、厚生省公衆衛生局環境衛生部環境衛生課長回答に見られるように、国として、出張理容・出張美容については、理容所、美容所の所属如何を問わず、理容師、美容師であれば差し支えないとの考え方に立っていたが、今般の局長通知により、出張理容・出張美容については、指導の枠組みを含め、所要の衛生措置が確保されている理容師・美容師に限るとの考え方に変更されているので、留意されたいこと。

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